読み聞かせの活動が始まったのは、自分の子育てがきっかけでした。まだ娘が5歳くらいだった当時、実家から離れた札幌の地で育児に奮闘、毎晩寝かしつけのために絵本を読んで聞かせていました。その中で、今の活動につながる絵本に出会ったんです。その作品は、〝どんなに頑張ってもできないことやあきらめなきゃいけないことがある。それでもみんな、きちんと大人になれるから大丈夫〞と、母親の私に言ってくれているような気がして、読みながら涙が止まらなくなってしまったんです。その作品の素晴らしさをどうしても自分の声で伝えたい、という思いが高じて、「大人と子供のための読みきかせの会」の結成に至ったのです。
大人も子供も、「読書が好き」って、良いことのように言われますが、私は読むことを好きになってもらいたいわけではないんです。その作品によって心が動いてくれることが、何より大切。だから、当初から生演奏も、読み聞かせに欠かせない要素として取り入れてきたんです。声と音楽とで、何か心で感じ取ってもらえたら、と思っています。
昨年、「大人と子供のための読みきかせの会」が20周年を迎えたのですが、あっという間の20年でした。でも、〝絶対にやめない〞といって頑張って続けてきたわけでもなくて。続けることも、どこかであきらめることが必要なこともあると思います。でも、世界的にこんな状況の今、ものごとを続けたくても続けられない人もたくさんいらっしゃる。だからこそ、許される限り、今の活動を続けていくことができたら、本当にうれしいですね。
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