美容ライター宇野ナミコさんの
ニッピコラーゲン工場見学日記 その1

「“究極のシンプル処方”は、
コラーゲン技術の結晶
なんですね」

30年以上のロングセラーとして、親子3代の愛用者も多いという、ニッピコラーゲンの「スキンケアジェル NM バランス」。あのぷるんとみずみずしいジェルは、どうやってできるのでしょうか?今回は製造・開発の「舞台裏」を取材させて頂きました。

コラーゲンの
トップメーカーだから叶う
特別な素材

お邪魔したのは、足立区にあるニッピコラーゲン化粧品本社。その横の敷地にある工場では、製品の研究開発から製造までが行われています。
工場で迎えて下さったのは、(株)ニッピの化粧品開発部次長の松田剛一さん。20年以上コラーゲンの製造・開発に携わり、ニッピの「コラーゲン職人」と称されるエキスパートです。
「これがスキンケア ジェル NMバランスの原料となるコラーゲン原液です。生コラーゲン、ナノコラーゲン、メディコラーゲンという3種類のコラーゲンと、グリセリン、水を混ぜたものですね」(松田さん)

(コラーゲン職人の松田剛一さん。ビーカーへ移しているのがスキンケア ジェル NMバランスの原料です)

3種類のコラーゲンの中で「生コラーゲン」は、人の肌と同じ3重らせん構造を持ち、 肌との親和性が高いのが特徴です。「一般的に化粧品に配合されるコラーゲンは酵素を用いて抽出しますが、生コラーゲンはアルカリで可溶化(透明かつ均一な状態で水に溶けていること)しているのが特徴なんです」(松田さん)

(この透明な液体が、ぷるぷるのジェルに変わるんですね)

アルカリ可溶化コラーゲンは、アレルギーの原因部分がより精密に取り除かれており、安全性に優れているのが特徴。一方で、 時間とコストがかかる抽出法でもあります。「化粧品に採用できるのは、ニッピがコラーゲンのトップメーカーであるからこそ。この“生コラーゲン”を配合しているのは、ニッピコラーゲンの化粧品だけです」(松田さん)

不要なものは一切省いた
「究極のシンプル処方」

そんなコラーゲン原液を前に、 「では、これから実際の製品と同じ作り方を、ビーカーの中で再現してみたいと思います」と、松田さん。「えっ、製品と同じ!?」と、心の中で驚きました。一般的に化粧品は、複数の成分や増粘剤、防腐剤などを配合しており、複雑な製造工程が必要とされているからです。

原料を目にして改めて、スキンケア ジェル NM バランスって、3種のコラーゲンと、水、グリセリンだけでできているんだなあとしみじみ。 究極のシンプル処方ですね。防腐剤や安定剤が一切入っていないことにも驚きます。

(まずは松田さんがお手本を見せて下さいます)

「じゃあまずは、僕がやってみましょう」 と、松田さん。 酸性に傾いたコラーゲン原液に、アルカリ 性の中和剤を1滴1滴加えながら、スプーンでかき混ぜてます。最初はトロ~リ葛湯のような感じですが、中和剤を加えるごとに白濁して粘度が増していきます。

(まずは松田さんがお手本を見せて下さいます)

中和剤を加えながらクルクルかき混ぜていると、次第にコラーゲンが透明に変わり、ぷるんとしたジェル状に変化。 「すごい、不思議!」と思わず声に出てしまいました。一般的にジェル状の化粧品を作るときは、増粘剤(お料理でいう片栗粉のようなもの)を使うものですが、「中和するだけでこのジェルを形成するのも、ニッピならではの技術です」(松田さん)

たった1滴のさじ加減で、
形が崩れちゃう!?

コラーゲンジェル作り、私も挑戦してみることになりました。一見簡単そうでしたけど、実際にやってみると…?とろんと白濁したジェルまではたどり着くものの、その後中和剤を添加するさじ加減が本当に難しいんです!

(一滴、一滴、慎重に中和剤を加えていきます)

一滴加えてはかき混ぜるという作業を繰り返します。「一滴でも多いと、ジェルの形状が崩れてしまうんです」と、松田さん。や、やめて下さい、プレッシャーになるから。慎重に作業を続けますが、透明でぷるんとしたジェルには、なかなか変わりません。

(一滴でも多いと失敗するので緊張します…!)

「あと、2滴くらいですね」「あともう1滴、さらに1滴加えるとちょっと多いかな」と、松田さん。見た目だけで、なんで分かるんですか!?さすがニッピのコラーゲン職人、長年の経験が培った「匠の技」ですね。

(「先生、できません!」と、途中で泣きが入りました)

そろりそろりと中和剤を加えながら、しばらくかき混ぜていると、あっ、ある瞬間フッとスプーンが重くなりました!ジェルがなめらかさを増し、つややかな質感に変わります。これこそが、コラーゲンジェルが完成したサインだそうです。

(完成品のジェル。よかった、無事できました…!)

作業自体は実にシンプルですが、松田さんのサポートなしには、絶対完成しなかったと思います。ホントに繊細な調整が必要なんですね。

実際の製造工程でも
「匠の技」が活躍

スキンケア ジェル NMバランスは、 基本的に今回ビーカーで行ったのと同じ作り方で製造されています。製造用の釜にコラーゲン原液を入れ、中和剤を加えながら攪拌していくそう。ただし、最後の繊細な中和剤のコントロールは、必ず「人の目」を通して確認します。

(製造に使われるのと同じ攪拌用の釜。大きいですね)

「もちろんpH メーターも設置していますが、最後に添加する中和剤の量は、あまりに繊細過ぎて、数値では表せないんです。テクスチャーを人の目で確認して、最終的に調整します」(松田さん)。すごい、まさに職人技の世界…!

最終確認は、異物が混入しないように短時間で正確な判断が必要です。松田さんをはじめ、工場のスタッフはトレーニングと現場での経験を重ねて、この「匠の技」を習得しているそう。独自のコラーゲン技術と人の力を合わせて、スキンケア ジェル NMバランスは完成するんですね。

「コラーゲンを配合した化粧品」は沢山ありますが、スキンケアジェルNMバランスは、本当に「コラーゲンそのもの」。防腐剤も、増粘剤も加えることなく、ぷるぷるのテクスチャーを叶える、ニッピコラーゲンが誇る高度な技術の賜物です。

110年以上の歴史を誇る、
コラーゲンのパイオニア

工場見学の後に、ニッピコラーゲン化粧品本社の1Fにあるギャラリーにお邪魔しました。親会社である(株)ニッピの創立以来の歴史や、現在取り扱っている製品、コラーゲン研究の成果などが展示されています。案内して下さったのは、広報担当の須藤綾芽さん。

(広報担当の須藤綾芽さん。
ニッピの歴史を説明して頂きました)

「ニッピの創業は1907年。もとは革製品の製作からスタートし、今年で113周年を迎えます」と、須藤さん。素材研究の一環として、コラーゲン研究をスタートしたのが1958年。私たちの体内にあるタンパク質の特性を生かすために、様々な研究が行われました。

(コラーゲンの構造や特性に関する展示も)

1963年、当時の研究所室長であった西原富雄博士が、それまで不可能とされていた、コラーゲン線維の可溶化に、世界で初めて成功します。「特許を取得したこの技術により、化粧品や食品分野への応用など、コラーゲンの可能性が広がっていったんです」(須藤さん)

このような長年のコラーゲン研究を結集して、スキンケア ジェル NMバランスは誕生したんだなと、しみじみ実感したひとときでした。

後半では、スキンケア ジェル NMバランスが皆様のお手元に届くまでの最終段階。無菌にこだわった工場の充てん作業に密着します。ご興味ある方はぜひ。

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